中小企業がAI社員を導入するとき、
最初に決める3つのこと

AI社員を入れたいが、何から手を付ければよいか分からない。そういうご相談を多くいただきます。ツールを選ぶ前に決めることが3つあります。この3つが決まっていれば、どのツールを使っても大きくは外しません。

ツールを選ぶ前に、決めることがある

AI社員の導入で最初に聞かれるのは、たいてい「どのツールがいいですか」です。しかし、導入後に使われなくなる会社を見ていると、原因はツールではありません。決めるべきことを決めないまま始めていることが原因です。

106件の実験研究をまとめたメタ分析でも、人とAIの組み合わせは、判断する仕事では成績が下がり、つくる仕事では上がっていました。何を任せるかで結果が正反対になります(AIを取り入れるほど生産性が下がる理由)。中小企業がAI社員を入れるときに、最初に決めることは3つです。

1つめ

任せる業務の線引き

  • どの業務をAI社員に任せるか
  • どこから人が持つか

2つめ

権限と最終確認

  • AI社員に何を触らせるか
  • 誰が確認して確定するか

3つめ

面倒を見る人

  • 出力を日々見る担当
  • 止まったら知らせる仕組み
図:ツールを選ぶ前に決める3つのこと

1. どの業務を任せ、どこから人が持つか

まず、1週間の仕事を書き出します。そのうえで、次の線で分けます。

AI社員に任せてよい人が持つ
情報の整理・突き合わせ経営判断・優先順位づけ
たたき台・下書きの作成交渉・関係づくり
一次対応の準備送信・契約・支払いの実行
定型のチェック(漏れ・不一致の検出)ルールにない例外の確定

最初に任せる業務は、くり返しが多く、手順を言葉にできて、間違えても取り返しがつくものを選びます。議事録、資料の転記、未返信の一覧化、レポートの集計などが入口になります。業種ごとの入口は業種別のモデル事例にまとめています。

「全部AIに任せたい」から始めると失敗します。1業務に絞り、動かし、安定してから足す。この順番が、結果としていちばん早く広がります。

AI社員に任せる

  • 情報の整理・突き合わせ
  • たたき台・下書きの作成
  • 一次対応の準備
  • 定型のチェックと集計
ここに線を引く

人が持つ

  • 経営判断・優先順位づけ
  • 交渉・関係づくり
  • 送信・契約・支払いの実行
  • ルールにない例外の確定
図:最初に引く線。左側だけをAI社員に渡し、右側は人が持ち続ける

2. AI社員に何を触らせ、誰が最終確認するか

次に決めるのは権限です。人の社員にも、見てよい情報と決裁できる範囲があります。AI社員にも同じものを決めます。

  • 触らせる情報:どのフォルダ、どの台帳まで読ませるか。個人情報や契約書をどう扱うか。
  • やらせる操作:下書きまでか、社内への保存までか。社外への送信は人が行う、と決めておく。
  • 最終確認の担当:業務ごとに、誰が確認して確定するかを決める。

当社では、社外への送信・公開、お金と契約に関わること、データの削除などは、AI社員の判断では実行しないと決めています。それ以外の下書きや整理は、進めてから報告させます。この線があるから、任せる範囲を安心して広げられます。

3. 誰がAI社員の面倒を見るか

見落とされやすいのがここです。AI社員は、入れたら終わりではありません。業務のやり方が変われば手順を直す必要があり、連携しているツールの仕様が変われば止まることもあります。

自動で動かしている処理は、止まっても音がしません。気づいたときには数週間たっていた、ということが起こります。そこで当社では、次の3つを決めています。

  • 担当者:AI社員の出力を日々見て、おかしければ直す人。専任である必要はありません。
  • 止まったら知らせる仕組み:動かなかったときに通知が来るようにしておく。
  • 直した内容の記録:同じ指摘が3回出たら、AI社員の手順そのものに書き足す。

3つめが効きます。指摘をその場で直すだけだと、同じ間違いがくり返されます。手順に書き足すことで、AI社員は使うほど自社の仕事に合っていきます。

  1. 1AI社員の出力を見る
  2. 2違うところを指摘する
  3. 3同じ指摘が3回出たら、手順に書き足す
  4. 4次からは最初から合っている

使うほど、自社の仕事に合っていく

図:指摘をその場で直すだけで終わらせず、手順に書き足す。これでAI社員は使うほど自社に合っていく

3つを決めたあとの進め方

  1. 任せる1業務について、いまの手順を書き出す
  2. 実際の資料でAI社員を動かし、出力を確認する
  3. 合格の基準(何をもって完了とするか)を決めて、AI社員自身に点検させる
  4. 2〜4週間運用して安定したら、次の業務を足す

自社で進めるか、構築を任せるかの目安はAI社員は自分で作るべきか、任せるべきかに書きました。当社にご依頼いただく場合の内容はAI社員派遣のページをご覧ください。

よくある質問

社員が10人以下の会社でも、AI社員を導入する意味はありますか?

あります。少人数の会社ほど、1人が複数の業務を兼ねているため、くり返しの事務を移す効果が出やすくなります。まず1業務から始めるのが現実的です。

導入の担当者は、ITに詳しい人でないといけませんか?

詳しい必要はありません。必要なのは、その業務の手順をよく知っていることです。AI社員の出力を見て「ここが違う」と言える人が、いちばん適任です。

最初の1業務は、どう選べばよいですか?

くり返しが多い、手順を言葉にできる、間違えても取り返しがつく、の3つを満たすものを選びます。議事録、資料の転記、未返信の一覧化、レポートの集計などが入口になります。

「どの業務を任せるか」から一緒に決めます

PathForgeのAI社員派遣は、ツールを配るサービスではありません。業務の棚卸しから始めて、任せる業務を見極め、実際に動く状態まで構築します。サービス資料では、AI社員が担う工程と人が持つ工程の分け方、導入の進め方をまとめています。

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先に「自社の何を任せられるか」を確かめたい方は、シミュレーターをお使いください。業種と業務を選ぶだけで、任せられる業務の候補と削減できる時間が1分で出ます。

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横山 尚武

執筆

横山 尚武株式会社PathForge 代表取締役 兼 COO

不動産営業、ベンチャー企業の事業営業部長を経て2020年に起業。自社の業務をAI社員で運用しながら、中小企業の業務整理とAI社員の企画・導入設計、導入後の運用支援を担当。

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