AI研修に使える人材開発支援助成金
対象・助成額・申請手順
生成AI研修で助成金を検討するときは、研修の内容だけでなく、受講する従業員の条件、助成額の上限、研修前後の手続きを確認する必要があります。この記事では、厚生労働省の公表資料をもとに、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の対象要件・助成額・申請期限を整理します。12時間の研修を受講する場合の費用例も紹介します。
結論:中小企業の経費助成率は75%。対象となる企業・従業員・研修の要件を確認する
生成AI研修は、厚生労働省の人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の対象となる場合があります。本記事はこのコースを解説するもので、企業内のデジタル化・DX化に伴って実施する研修を中心に説明します。他のコースは対象要件・助成率等が異なります。
中小企業の通常分の経費助成率は、対象経費の75%です。ただし、研修内容が受講者の職務に直接関係することに加え、自社のデジタル化・DX化との関係、受講者の雇用保険加入状況、訓練方法・時間、事前の計画届などの要件を満たす必要があります。対象かどうかは、研修の内容と実施方法の両方から確認します。
2026年8月3日の改正では、DX・GX関連の訓練についても、職務に間接的に必要となる知識・技能や、職業人に共通する知識等の習得を目的とする訓練は対象外とされました。厚生労働省は、特定の業務への具体的な適用を伴わない汎用的なプロンプト学習を、対象外の例として示しています。原則として同日以降に提出された計画届に基づく訓練に適用されますが、改正前の契約・申込み等には経過措置があります。
※ 2026年10月2日時点の公表資料にもとづきます。助成率・上限額・要件は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省の案内と管轄の労働局でご確認ください。受給を保証するものではありません。
対象になる企業・従業員・研修
先に、受講企業と受講者の側の条件です。
- 中小企業の判定:中小企業に該当するかは、主たる事業ごとの資本金・出資額、または企業全体で常時雇用する労働者数の基準により、支給申請時点で判断されます。
- 対象となる人:申請企業に雇用される雇用保険の被保険者です。研修に参加できることと、助成対象になることは別で、被保険者ではない方の受講は対象になりません。
- 社内の事前準備:研修の選定に加えて、職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定・周知など、受講企業側の準備が必要です。
次に、研修の中身です。公表資料で示されている線引きを、生成AI研修に当てはめると次のようになります。
対象となり得る内容の例
職務に直結した内容
- 担当業務を題材にした指示文の作成
- 出力の確認と修正の方法
- 自社業務でのAIの活用範囲の判断
対象外とされる内容の例
職務に間接的・汎用的
- 特定の業務への適用を伴わないプロンプト学習
- マナー・リテラシー・概念理解のみ
- 職務に間接的にしか関係しない知識
- 対象となり得る内容の例:営業担当者が、提案書の作成・修正の方法を学ぶ/事務担当者が、自社の請求業務を題材に指示文の作り方と出力の確認方法を学ぶ、など、受講者の職務に直接関係する内容
- 対象外とされる内容の例:職務に間接的にしか関係しない知識の習得/特定の業務への具体的な適用を伴わない、汎用的なプロンプトの作り方/マナー・リテラシー・概念理解にとどまる内容
※ 実際には、受講者の職務や、その他の支給要件によって判断されます。
形式の要件もあります。通学制・同時双方向型(講師とリアルタイムに質疑応答できる形式)では、対象外の内容等を除いた実訓練時間が10時間以上必要です。カリキュラムの一部が対象外となる場合、その時間を除いて確認します。また、受講者には原則として実訓練時間の8割以上を受講する要件があります。「全6回で12時間」であることと、「12時間すべてが助成対象」であることは、分けて確認してください。
オンライン研修でも、実施方法によって要件と助成内容が異なります。同時双方向型の通信訓練と、受講管理システム等で進捗を管理するeラーニングは、制度上別の区分です。
| 確認項目 | 同時双方向型の通信訓練 | eラーニング |
|---|---|---|
| 学習時間等の要件 | 1コースの実訓練時間が10時間以上 | 標準学習時間10時間以上、または標準学習期間1か月以上 |
| 受講の要件 | 原則として実訓練時間の8割以上を受講 | 訓練期間中に修了し、受講状況を確認できること |
| 中小企業の経費助成上限 | 10時間以上100時間未満なら1人1訓練30万円 | 1人1訓練15万円 |
| 賃金助成 | 所定労働時間内などの条件を満たす時間が対象 | 対象外 |
※ 定額制サービスを除く通常分の比較です。eラーニングを通学制・同時双方向型と組み合わせる場合も、経費助成は15万円の上限が適用されます。
いくら助成されるか:経費助成と賃金助成
この記事では、中小企業の通常分の経費助成と賃金助成を説明します。設備投資加算は扱いません。
| 種類 | 中小企業の通常分 | 主な条件・上限 |
|---|---|---|
| 経費助成(受講料など) | 対象経費の75% | 通学制・同時双方向型で実訓練時間10時間以上100時間未満の場合、1人1訓練あたり30万円まで |
| 賃金助成(訓練時間中の賃金) | 1人1時間あたり1,000円 | 所定労働時間内に受講し、賃金を適正に支払った対象時間について算定。通常は1人1訓練あたり1,200時間まで |
賃金助成は、研修時間のすべてが自動的に対象になるものではありません。所定労働時間外・所定休日に実施した時間は原則対象外です。また、eラーニング、通信制、定額制サービスによる訓練、育児休業中の訓練は賃金助成の対象外です。例えば、12時間すべてが賃金助成の対象となる場合、1名あたりの試算は1,000円×12時間=12,000円です。
※ 申請企業が企画・主催する事業内訓練では、部外講師への謝金・手当について、助成対象経費に算入できる金額に実訓練時間1時間あたり3万円(税込)の上限があります。これは、外部の教育訓練機関が企画・主催する研修の受講料全般に適用される上限ではありません。
当社の研修を例にした費用の試算
当社の生成AI活用リスキリング研修は、2時間×全6回の12時間で、受講料は1名40万円(税別)、お支払い額は44万円(税込)です。本研修が事業外訓練として扱われ、12時間が助成対象の実訓練時間として認められ、受講料44万円全額が対象経費となる場合、75%は33万円です。ただし、経費助成の上限は1人1訓練あたり30万円のため、この条件での試算額は30万円となります。経費助成30万円が支給された場合、お支払い額との差額は14万円です。
| 費用例 | 1名あたり | 3名受講時 |
|---|---|---|
| 受講料(税別) | 400,000円 | 1,200,000円 |
| お支払い額(税込) | 440,000円 | 1,320,000円 |
| 経費助成の試算 | 300,000円 | 900,000円 |
| 経費助成支給後の差額 | 140,000円 | 420,000円 |
| 経費助成が不支給の場合の受講料負担 | 440,000円 | 1,320,000円 |
※ 全員が支給要件を満たし、1名あたり経費助成30万円が支給された場合の試算です。賃金助成、税務上の処理、外部専門家への申請委託費用は含めていません。助成金は当社の値引きではなく、研修終了後の支給申請・審査を経て受講企業に支給されます。受講料は支給前に全額お支払いいただく形になります。
助成後の負担額が表示されている場合は、計算に使われている助成率・上限・支給条件を確認してください。助成額だけでなく、支給前の支払総額、不支給の場合の負担、研修内容を合わせて比較することが大切です。定価そのものに納得できる研修かどうかを先に確かめることをおすすめします。
手続きの流れと期限:計画届は研修開始の1か月前まで
助成金は「研修を受けてから申請する」制度ではありません。研修の前と後に、受講企業が行う手続きがあります。
- 1要件・体制の確認、研修選定カリキュラムと見積書
- 2計画届の提出原則、開始6か月前〜1か月前
- 3研修の実施受講記録の整備
- 4受講料の全額支払い支給申請までに
- 5支給申請終了日の翌日から2か月以内
- 6審査支給または不支給決定
申請主体は受講企業。研修会社は資料を提供し、申請書類の作成・提出代行や申請代理は行いません。受講料の実際の支払日は研修会社との契約によります
- 要件・社内体制の確認、研修の選定:対象になりそうな研修を選び、カリキュラム・見積書を受け取ります
- 職業訓練実施計画届の提出:原則として研修開始日の6か月前から1か月前までの間に管轄の労働局へ提出します。通常、この提出期間を過ぎると助成対象になりません。新規雇入れや天災等に関する特例、期限が休日に当たる場合の取扱いは、管轄労働局に確認してください
- 研修の実施・受講記録の整備:出欠などの受講記録を整えます
- 受講料の全額支払いを確認:実際の支払日は研修会社との契約によります。制度上は、支給申請までに申請企業が訓練経費を全額負担している必要があります
- 支給申請:研修終了日の翌日から2か月以内に申請します。期限を過ぎると支給されません
- 審査・支給または不支給決定:計画届が受け付けられたことは、支給決定を意味しません。支給申請後の審査で、支給・不支給が決定されます
制度上の期限とは別に、当社の推奨として、研修を始めたい日の2か月以上前から準備を始めることをおすすめしています。「来月から研修を始めたい」と思った時点では、計画届が間に合わない可能性があるためです。
準備する主な資料と役割
| 受講企業(申請主体) | 研修会社 |
|---|---|
| 事業展開等実施計画、対象労働者一覧などの準備 | 実施日時・内容・時間・料金が分かるカリキュラム、受講案内等 |
| 計画届の作成・提出(原則、開始6か月前から1か月前まで) | 見積書・請求書 |
| 受講者の選定(雇用保険の被保険者であること等の要件確認) | 受講状況を確認できる記録の提供 |
| 賃金台帳・出勤簿・支払記録等の整備 | 支給申請承諾書(訓練実施者・様式第12号)への対応 |
| 受講料等の確認と、受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)の作成・提出 | 受講料・料金内訳など、価格の確認に必要な情報の提供 |
| 支給申請書類の取りまとめ・提出(終了日の翌日から2か月以内) | — |
※ 必要書類は訓練の区分や申請内容によって異なります。上記は主な資料の例であり、厚生労働省と管轄労働局の提出書類一覧で確認してください。2026年5月14日の改正により、受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)の提出が必要となりました。研修会社から情報提供を受けるだけでなく、申請企業自身が内容を確認する必要があります。
申請は、受講企業が自社で行えます。外部への申請手続きの委託を検討する場合は、社会保険労務士にご相談ください。研修会社から紹介を受ける場合も、実際に申請業務を担当する者、対応範囲、契約先、費用を確認することが大切です。当社はカリキュラムや見積書、受講記録など、研修に関する資料を提供します。受講企業に代わる申請書類の作成・提出や申請代理は行いません。社会保険労務士に依頼する場合の契約・費用は、研修契約とは別にご確認ください。
研修を選ぶときに確認したいこと
- 職務との結びつき:カリキュラムに「誰が・どの業務で・何ができるようになるか」が書いてあるか。特定の業務への適用を伴わない汎用的な使い方講座は、対象外とされる例に当たります
- 形式:対象外の内容を除いた実訓練時間が10時間以上か。同時双方向型か、eラーニングか
- 定価と、助成後の表示の両方:「実質◯万円」だけでなく、定価と税込支払額、不支給の場合の負担が明記されているか
- 書類:カリキュラム・見積書・請求書・受講記録・価格の確認に必要な情報を出してくれるか
- 研修後:学んだことを自社の業務に落とすところまで扱うか(研修で終わらせないか)
当社の生成AI活用リスキリング研修では、受講者の職務に合わせた題材を用い、AIへの指示や出力の確認・修正などの手順を演習で学びます。実際の業務処理や、システムの導入・構築代行とは区別して実施します。カリキュラム・実施方法・料金と助成金を利用する場合の負担例は、研修ページと資料にまとめています。
よくある質問
助成金の申請を研修会社に代行してもらえますか?
申請は、受講企業が自社で行えます。研修会社等が報酬を得て申請書類の作成・提出代行等を行うことについては、厚生労働省が社会保険労務士法上の問題を注意喚起しています。外部への委託を検討する場合は社会保険労務士にご相談ください。研修会社から紹介を受ける場合も、実際に申請業務を担当する者、対応範囲、契約先、費用を確認してください。当社は研修に関する資料を提供し、申請書類の作成・提出や申請代理は行いません。
受講料は先に全額支払う必要がありますか?
助成金の支給前に、受講企業が受講料を全額支払う必要があります。制度上は支給申請までの支払いが必要で、具体的な支払日は研修会社との契約によります。資金繰りもあわせて検討してください。
eラーニングの研修も対象になりますか?
対象になる場合があります。ただし、受講管理システム等による進捗管理や、訓練期間中の修了などの要件があります。中小企業の経費助成上限は1人1訓練あたり15万円で、賃金助成はありません。また、本コースの受講回数は同じ労働者について原則1年度3回までで、そのうちeラーニングは1回までです。年度は支給申請日を基準とする4月1日から翌年3月31日までで、改正の適用には経過措置があります。
2名で受けても助成されますか?
助成金の制度上は人数の下限はありませんが、研修会社ごとに開催条件があります。当社の研修は3名以上でのお申し込みを開催条件としています。
研修内容・料金・提供書類を資料でご確認ください
PathForgeでは、Zoomによる同時双方向型の生成AI活用リスキリング研修を、2時間×全6回・3名以上で提供しています。受講料は1名40万円(税別)です。研修資料には、全6回のカリキュラム、実施方法、受講料と助成金を利用する場合の負担例、当社と貴社の分担をまとめています。受講を検討している方は、担当業務や受講予定人数、開始希望時期について無料相談(30分)でお聞かせください。当社は研修に関する書類を提供します。助成金の支給可否の判断や申請代理は行いません。
研修資料を無料で請求する 無料相談を申し込む
資料を無料で見る